部分的修繕を行いながらも、同時に長期的スパンで考えないといけないのが、建物全体の大規模修繕。鉄筋コンクリート製マンションやビルは頑丈な印象がありますが、確実に経年劣化していきます。特に注意したいのがコンクリートのひび割れ。コンクリートにひび割れはつきものですが、放置するとそこから水分が浸入し内部構造である鉄筋にサビを生じさせるのです。こうなると、年数が経つにつれて、マンション全体の安全性も脅かされることとなります。
マンションの耐久性・安全性を保つためにも、こまめな部分修繕とともに大規模修繕もしっかりと検討しておきましょう。また、時代の流れに対応し、大規模修繕の際に建物の資産価値を高めるバリアフリー化工事や、耐震補強工事も検討される管理組合様も増えています。
大規模修繕について
大規模修繕と小規模修繕(部分的な修繕)の大きな違いは施工の流れ、そして建物をグレードアップさせることができ、原状回復以上の資産価値をもたらすことにあります。
大規模修繕の流れ
大規模修繕は、理事会・総会による修繕委員会発足から工事に着手できるまで、おおよそ1年ほどの期間が必要になることがほとんどです。ここでは、工事完了までのおおまかな流れをご説明します。
まずは理事会の主導によって、管理会社や調査会社へ事前調査を依頼します。工事の実施を決定する理事会・総会で修繕委員会を発足。その後は計画立案などから着手し、修繕委員会を中心に大規模修繕に向けて進めていきます。
大きな節目となるのが、改修設計を依頼するコンサルタントを選出すること。コンサルタントには、建物の調査・設計・工事の監理という仕事を依頼することになります。このとき重要になるのが、中立的な立場で誠実な対応のできるコンサルタントを選ぶことです。
コンサルタント業務を請け負った会社にしっかりと要望を伝え、概略設計と長期計画を立案してもらいます。このときに設計見積もりも作成してもらい、積立金との調整を検討します。さまざまな調整を行いながら、概略設計から詳細設計へと詰めていきます。
工事仕様書が承認されたら、工事の施工業者を決める作業に入ります。不特定多数からの公募ではなく、参加要件を指定した入札もしくはプレゼン方式での選定がよいでしょう。工事内容や技術力だけでなく、管理方法や業者の規模、スタッフの能力など、多角的に判断して決定する必要があります。